| 島 耕作という男 |
| 毎週木曜日に「Easy PC」というパソコン解説週刊誌が出る。街中の書店 に予約をしているので、今週はちょうど発売日に書店に立ち寄った。入り口から 入って、すぐに目に付くのがコミック本のコーナーだ。そこに新刊本で「部長 島 耕作 13巻」がおいてあった。待ちに待った最新刊だ。 島 耕作のことを書くとこのページがいくらあっても足りないので、95%ぐらいは 割愛するが、この島耕作(当初「課長」だったものが「部長」となり、今回の13巻で とうとう「取締役」となった)の作者は知る人ぞ知る『弘兼憲史』という男だ。彼は 大学卒業後、数年のサラリーマン生活を経て漫画家になったという経歴の持ち 主だ。その会社というのは「松下電器産業」、あの「大ナショナル」だ。 私が、弘兼のことを知ったのは、松下に勤めていた従弟が、「すー姉ちゃんは 政治のことが好きなら、弘兼憲司の『加治隆介の議』っていう漫画を読んでごら ん。おもしろいから。僕が10巻までは持っているから貸してあげるよ」と言って、 私を抜き差しならぬ『弘兼底なし沼』に突き落としたときからだった。 読み出したら面白くって、残りの10巻は古本屋を当たりまくって一気に20冊読 み終えてしまった。なんという、取材力、情報収集力、分析力。こんな漫画家が いたなんて、目からうろこ状態だった。女性にもこんな漫画家はいる。里中満智子、 池田理代子の両名だ。だから私はこの二人の漫画はたくさん持っている。だけど 男性の漫画家の漫画を読むのは「サラリーマン金太郎」以来だった。あの漫画も おもしろいが、話が飛躍しすぎて、絶対ありえないような展開にそろそろ嫌気が さしていた頃だった。 そんなとき、自身のサラリーマン生活に基づく、等身大の漫画。しかも話が進む うちにどんどんスケールは大きくなる。でも、決してありえない話しではなく、現実 にありうる話を丹念に取材して書き上げている。島耕作という男は、作者・弘兼 憲史と同い年、彼の分身であると言われている。そしてリアルタイムに物語りは 進んでゆく。彼は1947年生まれ。いわゆる団塊の世代である。私はその一回り あとの1959年生まれ。どちらもイノシシ年生まれだ。よく「猪突猛進」タイプと言わ れる。私より12才年上の、島耕作=弘兼憲司は私にとっては、銀行に勤めて いた頃の上司とちょうど同世代だ。 そして、昨年(2001/11)、“生”弘兼に会ったのだ。「シニアフェスタin九州」で トークショーのゲストとしてやってきたのだ。なにをおいても彼のトークは聴いた。 そこでは、「島耕作」や「加治隆介」の話ではなく、シニア世代の恋愛を取り扱った 「黄昏流星群」という漫画も執筆中であるという。また、この本も全巻(当時で14巻 まで発刊)買い揃えてしまった。 だから、私は弘兼の漫画では一番最初に出た「島耕作」よりも、「島」を執筆中 に書いた「加治隆介・・・」や「黄昏・・・」の方を読みつくしてから「課長 島耕作」 を17巻、「部長 島耕作」を13巻、この30巻を2カ月ほどの間に読みつくしたわけ だ。読み終えた今、心地よい脱力感と、一陣の寂寥感が私の胸に漂っている。 もう勤めているわけでもないから、上司はいないのに、私にとっては「島耕作」 は理想の上司になってしまっている。自分で島耕作の行動をあれやこれや創造 してしまっている。今回、取締役になってしまった島耕作は私から遠く離れてしま ったようなそんな気がする。いずれ社長になるのであろうか。(そりゃあ、加治隆介 を総理大臣にしてしまった弘兼だから、そういう展開は十分に考えられる) とにかく、私にとって(勤めていたならば)上司としても、男性としても理想的な男・ 島耕作が「大初芝(実際は松下)」の取締役になった。今後も年3巻ほどは単行本 として発刊されるだろう。今後の島耕作の成長ぶりを楽しみに、しばしの間、島と のお別れである。 (2002. 4.25 記) |
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